「幸せ」をこしらえよう。

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

「ブラックなデザイン会社を、世の中からなくしたい」
これが私のひとつの願いです。


私は学生時代にデザインの勉強をしていました。
先日当時の仲間と会い、「最近どう?」「今どんな仕事してるの?」「そういえば○○ちゃん、なにしてるんだろうね?」そんなことを語り合いました。そこでのあるあるバナシをひとつ。

「○○ちゃん、デザイン会社に就職(転職)したけど、ブラック過ぎてやめちゃったみたいだよ」

「ブラック」の定義は人それぞれ。でも、「夢を抱いてデザイン会社(または制作会社)で働いてみたらブラックだった」というのは、本当によく聞きます。(私自身、「ブラック」な編プロで、編集・デザインの仕事をしていたことがあります)
だから、デザイン会社や制作会社には「ブラック」なところが多い。これが私の持論です。

3月の3連休、私は実家のある長野県飯田市に帰り、モーニングカフェ「アヲハト」を営む北原麻美さんに会いに行きました。
話をして、彼女がお店をはじめるきっかけのひとつになった『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』という本に出会いました。

パン屋さんとカール・マルクスの「資本論」。
そのときはなんだか難しそうでよく分からなかったのですが、とっても気になったので、東京に戻り、その本をさっそく購入して読んでみました。そして、「デザイン会社がブラックな理由」にたどり着きました。

イーストを使って誰でも簡単にパンがつくれるようになると、パンの値段が安くなり、パン屋の労働者は安くこき使われ続ける。そして、工房での労働は単純化され、パン屋本来の技術は、いつまで経っても身につかない。
その悪循環から抜け出すために——。厳選した食材を使い、手間暇をかけて、しっかりとパンをつくる。そしてその対価として真っ当な価格をつける。パン職人の技術を活かしたパンをつくり続けられるように、しっかり休む。(著者 渡邉格さんの言葉)

※天然酵母のパンづくりにこだわる渡邉格さんのお店については「タルマーリー」のWEBサイトをご覧ください。

単語を入れ替えれるとこうなります。

MACを使って誰でも簡単にデザインできるようになると、制作料金が安くなり、デザイナーは安くこき使われ続ける。そして、デザイン会社での労働は大量生産すること(終電帰り、サービス残業は当たり前)ばかりが重視され、デザイン本来の目的は、いつまで経っても果たせない。

こんなことを言うと、「デザイン本来の目的ってなに?」とつっこまれてしまうかもしれませんが、私は「自分が幸せになり、人を幸せにすること」だと思っています。
IllustratorやPhotoshopを使ってモノをつくることは、「デザイン」のほんの一部分にすぎません。そう教わりましたし、綺麗事ではなく、本気でそう考えています。

このブログをはじめたのも、ビジュアルを整えるための技術として消費されることが多い「デザイン」について、改めて問い直したかったから。「デザイン」を働き方や暮らし方に使えていないデザイン会社の経営者に、この本をおすすめします。人生、変わっちゃうかも。

amiko
編集者、デザイナー、宣伝のお仕事などを経験。現在は「デザインライター」として活動中。プログラマーとしてもお仕事をしています。好きなことは、読書、音楽(主にジャズ)、旅行。

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