未来に対する漠然とした不安、誰もが一度は抱いたことがあると思います。一度考え始めると溢れ出て来てしまう、不安で夜眠れなくなってしまう、悲観的になって自分を否定してしまう、そんな経験をしたことがある人もいるかもしれません。
『未来に通用する生き方』(著:島崎信・中島健祐)という本には、「漠然とした不安」を「具体的な未来への想像」に落とし込むヒントが書かれていました。それは、“自分の人生をデザインする”ということです。本書の作者である島崎信さんは、「デザイン」について本書で下記のように述べられています。(北欧デザインの第一人者である島崎信さんについては、「はじめましてのフィン・ユール」でも少しご紹介させていただいています)
「デザイン」とは、椅子という例で言えば、座り心地、使い心地、そして制作コストや材料の背景、流通方法まで見渡し、考えた上で設計するということ。「目的を達成する仕組みづくり」が、デザインの本当の意味なのです。
パーツの色や形だけを整えようとしても、なかなか上手くいかない。そういったところから、悩みは生まれるのだろうなと思いました。人生を、日々の生活を「目的を達成するためのプロセス」としてデザインしてみましょう。でも、目的が何なのか明確な人はそんなに多くはないと思います。例えば働くということ一つとってみても、“お金のため”という目的のみだと、今自分がやっている仕事が30年先にも果たしてあるのだろうか、という不安から逃れることは出来ないでしょう。
では、そういった不安に支配される時間をなくし、確かで幸せな人生を歩むためにはどうすればいいのでしょうか。本書は、「3つのしごと」のバランスをとることの大切さを教えてくれました。
- 仕事:生活の糧を得るため、はたらくこと。
- 私事:健康の管理・家庭・家事・趣味や余暇を含めた、あなたの個人的な事柄。
- 志事:自分の好きなことで長続きするたのしいこと。それが、世の中の何かのため、誰かのため、そして未来のためになる。そういう旗印としての、他者にも伝わる志の活動。
この3つの中ですぐにイメージがつきにくいのは、「志事」ではないかと思います。常日頃から考えていないとなかなか実践できない“志の活動”。例えば、著者である島崎信さんは下記のような志事を持っているそうです。
デンマークの秀れた生活デザイン(家具・照明・テーブルウエアなど)のデザインを日本に紹介するだけでなく、その技術や思想を伝えることで、日本のデザインの水準を高めるための努力を続けたい、そして、北欧の小国デンマークが、1960年代頃にはすでに世界に誇れる民主的な高福祉の国となっていたこと。国民の意志による国づくりのデザインの努力とその内容を、日本の国情に合うように伝えたい
北欧やデザイン関連の書籍を多数執筆・監修されたり、大学でも教鞭をとられたりと、多方面でこの「志事」を実践されています。こんな素晴らしい「しごと」を目の当たりにしてしまうと、自分のものはなんてちっぽけなんだろう、と感じてしまいます。でも、その“他者と比較してしまうこと”こそが、自分の人生をデザインすることの妨げになってしまうので、しっかりと自分自身の「才能」に目を向けたいと思います。
「才能」というと少し大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、何の才能もない人はいません。あなたの好きなことや得意なことはなんですが?そしてそれは、30年後も続けていけそうなこと、続けていたいと思えることですか?未来に対する漠然とした不安が芽を出したら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
ちなみに私の「志事」は、“「デザイン・シンキング」を暮らしや生き方に実践して、心身のバランスを保てるようになること、そして、「デザインのあるところ」を「仕事」でも、ブログやリトルプレスでも、様々な方法で発信していくこと”です。まだスタートを切ったばかりですが、30年後も50年後も続けていけたら、きっと自分のためだけでなく誰かのために、そして世の中のためになるのではないかなと思います。