デンマーク旅行(3)教会でJAZZに出会う

JAZZ IN DENMARK

コペンハーゲンに到着した初日のお話です。長時間のフライトと、Airbnbで予約した部屋にチェックインするときに、少しばかりのトラブルがあった影響でヘトヘトになっていた私は、部屋に入った瞬間そのままベッドにダイブして、『もうこのまま寝てしまおうか』などと考えていました。
でも、時間はまだ15時。せっかくデンマークまで来たのにもったいないと思い、着替えを済ませて行動することに。さて、なにをしましょうか。


まず、マンションの周辺を散策することにしました。10分ほど歩いて辿り着いたのが、古めかしい統一されたデザイン建築と、どこまでも無限に広がっているかのような石畳が印象的な場所でした。
Kødbyen人の気配が全くなく、ここは本当にコペンハーゲン?と思ってしまうほどでした。石畳を歩きながら奥へ進んで行くと、ジャズ(恐らくサックス)の練習をしている音色が建物の中から聴こえてきました。『人が住んでいるのだろうか。でも、生活感がないし、建物の外観からも民家には見えない。ここは一体どこなんだろう』
Kødbyenその答えは、通りに設置されていた看板が教えてくれました。
「Welcome to Kødbyen(Copenhagen Meat Packing District)」つまり、コペンハーゲンの食肉加工業が営まれていた地区だそうです。ただし、現在は多種多様なレストランやバー、アートギャラリー、音楽イベントの開催など、クリエイティブな商業スポットとして生まれ変わっているようです。(→詳しくはVISIT COPENHAGENのサイトをご覧ください)
私が訪れたときは、残念ながら閉まっているお店がほとんどだったのですが、気になった方はぜひチェックしてみてください。

Copenhagen Meat Packing Districtを後にして、しばらく街歩きをしていると、大きな教会を見つけました。
Eliaskirken(出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Eliaskirken_(Vesterbo).jpg

Eliaskirken」と呼ばれる教会。入り口付近に、Copenhagen Jazz Festivalの案内がありました。どうやらこの教会でもジャズの演奏をやるらしい。案内にはデンマーク語で、17時から「jazzgudstjeneste」つまり、「ジャズ礼拝」をやりますと書いてありました。ジャズ礼拝ってなんだろう?きっとツーリスト向けのものではないけれど、気になったので入ってみることに。

荘厳で神聖な空間。周りはデンマーク人の方たちばかり。長椅子に腰掛けてドキドキしながら待っていると、コントラバス、テナーサックス奏者、ピアニスト、そして女性シンガーが登場し、演奏が始まりました。

最初に歌ったのが、Vernon Duke(1903-1969)が1940年に発表した「Takin’ a Chance on Love」。“ハッピーエンディングを摑み取るために、この恋に賭けてみよう”という乙女心の溢れる一曲です。(→歌詞はこちら)スタンドナンバーは演奏者と歌い手によって全く印象が変わりますが、このとき聴いた演奏は、軽快で明るいリズムと優しい歌声が印象的でした。そして、窓から差し込む陽の光が祭壇を照らし、神様と自然と人がつくり出した音楽が、たくさんの幸せをもたらしてくれるかのようでした。

一曲の演奏が終わると、牧師さんによる説教が行われ、参加者全員で「Fælles Sang」というデンマーク語の歌を歌いました。もちろん私は歌うことができず。そして、その歌が何なのかも分かりませんでした。賛美歌だったのか?それとも、例えば日本で言うところの市町村歌のような地域の歌だったのか?はたまた、デンマークの伝統的な童謡だったのか?追々調べたいと思っています。
また、今回はジャズの演奏以外すべてデンマーク語でしたが、「Eliaskirken」では、主に外国人向けに、英語で行うサービスも定期的に行われているようです。

その後、“あなたのためにできることのすべて”を歌うBob Haymes(1923-1989)の「That’s all」(→歌詞はこちら)、“落ち込んでも立ち直る勇気の大切さ”を教えてくれる、Jerome Kern(1885-1945)の「Pick Yourself Up」(→歌詞はこちら)、そして、George Gershwin(1898-1937)が1935年に発表した『ポーギーとベス』の中で歌われた子守唄「Summertime」(→歌詞はこちら)などの演奏が行われ、曲と曲の間の時間には、牧師さんによる説教や宗教的儀式、最初に歌ったものとはまた別の「Fælles Sang」の合唱と、「ジャズ礼拝」をフルコースで経験させてもらいました。

ジャズパート以外はデンマーク語なので、分からないことが多かったのですが、特に「Pick Yourself Up」の演奏は、歌詞が今の自分の状況と重なって、とても感動しました。

Don’t lose your confidence if you slip
Be grateful for a pleasant trip
And pick yourself up, dust yourself off and start all over again

“たとえ躓くことがあっても、自信を失ってはいけません。楽しい旅に感謝するのです。そして、自分自身を掬い上げ、埃を落として、もう一度はじめましょう”
ここで歌われる「旅」は、旅行だけでなく人生の旅路を表しているのかなと思います。

ジャズ礼拝が終わると、とても清々しい気持ちになり、私はまた宿であるマンションに帰りました。『歌っていたジャズシンガーは誰だったんだろう』調べてみることに。名前はSigne Juhl Jensen(シーネ・ジュール・イェンソン)で、デンマーク人のシンガーでした。
Signe Juhl Jensenあまり有名な方ではないようですが、私は優しい歌声がとても大好きです。Apple Musicで、アルバム「Silver-Tongued」を聴くことができます。「Love Me Tender」(→歌詞はこちら)や「Midnight Sun」(→歌詞はこちら)などが収録されています。また、恐らく公式のYouTubeチャンネルも見つけたので、シェアしたいと思います。

動画は、ジャズピアニストのNikolaj Bentzon(ニコライ・ベンゾン)、そしてOdense Symphony Orchestra(オーデンセ交響楽団)とのコラボレーションによる「Love Me Tender」。とても豪華で奥行きのあるサウンドです。『やっぱり音楽っていいなぁ。きっとこれからもたくさんの感動や幸せを、世界中の人々に与え続けていくんだろうな』

知らない教会で出会ったジャズが、「旅」を一層豊かなものにしてくれました。
さて、次はどこへ出かけて、なにをしましょうか。
行き先も、目的も、決まっていなくても、きっと大丈夫。


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amiko
編集者、デザイナー、宣伝のお仕事などを経験。現在は「デザインライター」として活動中。プログラマーとしてもお仕事をしています。好きなことは、読書、音楽(主にジャズ)、旅行。

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