夏はそんなに好きではないはずなのに、
どうして夏の思い出は色褪せないんだろう。
暑いのがとにかく苦手な私にとって、夏は憂鬱な季節です。
でも、毎年夏が来ると思い出すのは、楽しかったことばかり。
懐かしい、十数年前の記憶。
母親に手伝ってもらいながらやりとげた、朝顔の研究。
トウモロコシのことを「きび」と呼び、(どうやら方言らしい)家族みんなで「きび」やスイカを食べたこと。
姉と一緒に祖父母の家に泊まり、おじいちゃんが持っている落語のカセットテープをたくさん聞いて、たくさん笑ったこと。
蝉、風鈴、夏蛙、扇風機、遠くで聞こえる花火の音。
もちろん、中には楽しくないこともありました。
強制参加のラジオ体操とプール。
この二つは大の苦手でした。(なんでみんなで同じことをやらないといけないの?と思っていました)
時は流れて大人になり、夏を強く意識することはなくなりました。
学生時代の長い長い夏休みも、(当時は時々退屈に感じることもありましたが)今はもう手の届かないところにあります。
これからもきっと、夏の思い出は思い出として、色褪せることなく輝き続けるのでしょう。
先日、母親から写真が届きました。
実家の庭の写真です。
ピーマン、ナス、トマト、きゅうり、大葉、さやえんどう、ニラ、トウモロコシ、枝豆などなど、たくさんの野菜が穫れているようです。
最初はただの庭だったのに、毎年成長を続ける立派な畑になりました。(ここまで育て上げた父親に拍手)
そんな庭を見ていて、ふと思いました。
『夏を生きよう』と。
大人になっても、何歳になっても、夏は夏じゃないか。
野菜は変わらず美味しいし、蝉の鳴き声も花火の音も変わらない。
変わらない夏と、変わっていく人間(自分)。
少しだけ、大人の夏の楽しみ方が、分かったような気がしました。