朝の7時15分、バスタ新宿を出発。行き先は長野県松本市安曇上高地。
上高地はマイカー規制がされているので、「さわやか信州号」の直行バスでなら、乗り換えることなく行くことができる。新宿〜上高地のルートは1日2本。もう一便は、夜の10時25分発の夜行便だ。
中央自動車道を経由し、新島々へ。
国道158号線を山に向かって進むにつれて、道は狭くなり、カーブやトンネルも増えていく。酔い止めを飲んでおかなかったことを少し後悔しつつ、「上高地バスターミナル」に到着した。バスで約5時間の道のりであった。
爽やかな空気と緑の匂い。降り立った瞬間、気持ち悪さは吹き飛んだ。「上高地インフォメーションセンター」で散策マップを100円で購入し、いざ出発。(折り畳むと掌の半分くらいのサイズになるマップ。とても役に立った。)まずは河童橋を目指す。
河童橋は、全長36.6m、幅3.1mの木造の吊り橋。過去に4回架け替えられており、現在は5代目のものだそう。また、芥川龍之介の小説『河童』の舞台としても有名だ。
上高地バスターミナルから5分程で到着。周辺には土産物屋やホテル、食堂などがあり、上高地の中で一番賑わうスポット。
写真は河童橋と梓川、そして上流に見えるのは穂高連峰。
最高峰は、富士山、北岳に次いで日本で3番目の高さ(3190m)を誇る奥穂高岳だ。気持ちの良い晴れの日だったが、山には厚い雲がかかっていた。
1日目の目的地は、宿がある明神。河童橋〜明神のルートは2つ。行きは梓川右岸道を歩くことにした。
アップダウンがほとんどなく、歩きやすい山道。足元は登山靴でなくて大丈夫だが、スニーカーが無難だろう。
岳沢湿原。奥に見えるのは六百山。標高2170mの岳沢まで登ることができる登山道もある。
川の水は透き通っていて、蒼く輝き、とても美しい。
野生のニホンザルに遭遇。エサとなる植物をもりもり食べていた。
(※遠方から撮影しています。野生動物にむやみに近付いたり、エサを与えることは絶対にやめましょう。)
歩くこと約1時間20分。目的地の「朝焼けの宿 明神館」に到着した。宿の正面には小梨。白く可憐な小梨の花びらがひらひらと舞う。5月下旬〜6月上旬に楽しむことができるバラ科の落葉小高木だ。
明神周辺は翌朝散策するので、徳沢まで行ってみることにした。
滝や古池を眺めながら、森の中や川沿いを歩く。ニリンソウやエゾムラサキなどの花々も見ることができた。標高2140mの徳本峠まで登ることができる登山道もある。
1時間程で「徳沢キャンプ場」に到着。
ハルニレの木が点在する草原。ここは元々「上高地牧場」だった場所だそう。井上靖の小説『氷壁』の舞台としても知られている。空の雲行きが少し怪しくなってきたので、宿に戻ることにした。
宿は明神橋から歩いて5分程のところにあり、2階のテラスからは明神岳を望むことができた。朝の4時30分頃から、運が良ければ(雲がかかっていなければ)朝焼けの明神岳を見ることができるそう。
夕食時には店主から、この地にまつわるお話を聞かせていただいた。
“上高地は明神からはじまった”
「明神岳」とは穂高岳の尊称で、穂高連峰の中心の山であり、神武天皇の叔父「海神(わだつみの神)」俗名「穂高見命(ほたかのみこと)」の御神体である。穂高の神が祭られている神域であることにより、明神地区は「神河地(かみこうち)」と呼ばれていたそう。
河童橋から見る穂高連峰では明神岳は目立たないが、明神から拝む明神岳は、とても力強く、神々しい。これから上高地に行かれる方は、河童橋周辺だけでなく、ぜひ明神まで行ってみて欲しい。
2日目は早朝の明神池を拝観し、大正池・田代池まで歩くことにする。