旅先で出会うのは、新しい味ばかりではない。今日はそんなお話。
先日、山形県に行った。人生初の山形県。仕事のような、
旅先でのお楽しみは、やはりその土地のものを食べること。あまり時間がなかったのでお店巡りをすることはできなかったが、食べたいと思っていた郷土料理の「いも煮」と、地元の方おすすめのB級グルメ「冷たい肉そば」を食べることができた。
私が訪れたのは山形市と朝日町の内陸地方だったので、食べた「いも煮」は醤油味で、里芋、牛肉、茸、長ネギが入ったものだった。庄内地方のものは味噌味で、豚肉が入っているようだ。また、「冷たい肉そば」は日本蕎麦だが、スープの味は醤油味の中華そばに似ていた。トッピングはお店によって異なるが、鶏肉は必ず入っている。冬の寒い日でも「冷たい肉そば」は大人気で、たくさんの人が注文していた。
他にも山形の郷土料理(玉こんにゃく、だた茶豆、もってのほか、だし など)を少しずつ味わった。蕎麦もそうだが、私の地元である長野県・飯田市でも昔よく食べていた味に再会した。「しそ巻き味噌」だ。味噌を青じそで巻き、焼いてある(もしくは揚げる)食べ物なのだが、私はずっと自分の地元の郷土料理だと思っていた。調べたところ、山形県だけでなく東北地方(宮城県など)や静岡県などでも食べられているそうだ。
飯田市は静岡県に近いので、食文化や方言などにおいて共通する部分が多い。なので、同じ長野県でも松本市や長野市には「しそ巻き味噌」はないかもしれない。そして飯田市の中でも、食べたことのある人と食べたことのない人がいるかもしれない。私も小さい頃はよく食べていた記憶があるが、今地元に帰っても、食べることはほとんどないからだ。こういった昔ながらの味は、現代の飽和した食生活において、各家庭で意識して食卓に登場させようとしない限り、食べる機会はどんどん減っていってしまうだろう。
地理的に近いわけではないので不思議ではあるが、懐かしい味、ほっとする味に偶然巡り会えたことが、とても嬉しかった。そして、「食」も“人と人が繋がるコミュニケーションツール”の一つであることを、改めて感じた旅だった。
◆訪れたお店◆
「いのこ家 山形田」:山形駅から徒歩2分ほどの「霞城セントラル」という建物の1階にある。山形の郷土料理や地酒が楽しめる。
「太郎亭」:朝日町にあるそば屋さん。蕎麦の麺がもちっとしていてとても美味しい。冬でも「冷たい肉そば」を。