「古き良きもの」も「新しき良きもの」も、バランスよく取り入れたい。最近はそんなことをよく考えます。
大好きなジャズも同じ。「古いものや昔ながらのスタイルが絶対的に良い」という価値観を、押し付けることは出来ないだろうと思うのです。
鎌倉に「Jazzの泉」という素敵なジャズ喫茶を見つけました。今年(2019年)の3月にオープンした新しい場所です。せっかくジャズを好きになったのに、ほとんどジャズ喫茶に行ったことがない私。それは、一度行った時に「居心地が悪い」と感じたからでした。
はっきり言ってしまうと、私は煙草の煙と臭いが嫌いです。ですが、昔ながらのジャズ喫茶は喫煙可のところが多いです。確かにそういう場所を必要としているファンもたくさんいらっしゃるので、否定するつもりはありません。しかし、『ジャズ喫茶とはこういうものだ』『こういうスタイルなんだ』とは、どうしても思えないのです。
『煙草嫌いな女性も、気軽に入れるジャズ喫茶があったら良いな』『ジャズ初心者でも楽しめるような、カジュアルな雰囲気の場所があったら良いな』と、普段からそんなことを考えていたのですが、先日「Jazzの泉」を鎌倉経済新聞の記事で見つけました。『ここに行ってみたい!』と直感で感じ、鎌倉まで足を運びました。
実際に行ってみると、そこは私が探し求めていた理想の場所でした。営んでいるのは、優しく気さくな雰囲気のご夫婦。店内は明るく、美味しいコーヒーとジャズが楽しめて、静かに読書をしても良し、おしゃべりをしても良し(もちろん大声はダメですが)な空間です。もちろんレコードの所蔵数やオーディオも素晴らしいと思いますが(個人的には全然詳しくないです)、それ以上に『なんて居心地が良いのだろう』ととても感動しました。近所にあったら絶対通ってしまいます。
私が来店した時に、ご主人が選曲してかけていたレコードも、どれもとても素敵だったのでご紹介します。リクエストにも応えていただけるようですが、基本的にはご主人がその日の営業中にかけるレコードを予め決めているようです。『たくさんのレコードの中から、どうやってその日にかける曲を選んでいるんだろう?』今度来店したらお聞きしてみたいです。
- ELMO HOPE(エルモ・ホープ)”Hope-Full”
- ERNIE HENRY(アーニー・ヘンリー)”Seven Standards And A Blues”
- FREDDIE HUBBARD(フレディ・ハバード)”Ready For Freddie”
- BOBBY HUTCHERSON(ボビー・ハッチャーソン)”Color Schemes”
- HANK JONES(ハンク・ジョーンズ)”Hanky Panky”
- J.J.JHOHNSON(ジェイジェイジョンソン)”The Eminent Jay Jay Johnson Vol.2″
特にボビー・ハッチャーソンの「Color Schemes」(1985年録音・1986年リリース)がお気に入りです。初めて聴いたミュージシャン。アメリカのジャズ・ヴィブラフォン奏者です。『ヴィブラフォンの音色ってこんなに繊細で、真っ直ぐで、心に響くんだなぁ』と思いました。それ以来、ボビー・ハッチャーソンのアルバムをApple Musicで聴き漁っています。
素敵な場所で、大好きなジャズを聴き、道中で手に入れた哲学の雑誌を読みながら、色々なことを考える。「名盤」が人それぞれ違うように、世の中に『こうでなくちゃいけない』なんてものは何もない。人の価値観を尊重したいし、自分の価値観を大切にしたいし、更新もしていきたい。
〇〇らしい、新しい価値観を。
『いつかそんな風に、ジャズとの出会いを提供したり共有したり出来るような場所を、自分もつくれたら良いな』と思いました。
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