和欧混植の話

和欧混植

エディトリアルデザインの文字組みにおいて重要な「和欧混植」のお話です。


現在リトルプレスのデザイン制作真っ最中なのですが、和文フォントと欧文フォントの組み合わせをどのようにするかを決める「和欧混植」を再考しています。つまり、日本語の書籍や雑誌の本文には和文(漢字、ひらがな、カタカナ)、欧文(半角英数字)が登場しますが、前者と後者でフォントを変えることで、美しく読みやすい「文字組み」を実現しようという訳です。

2020年6月1日発行の『デザインノート No.91』によると、「和欧混植」のカギは“欧文の拡大比率と位置調整”であると書かれていました。フォントを変えるだけでなく、サイズと位置の調整が必要ということです。
デザインノートまた、下記のような記述もありました。

和欧混植する際の欧文は、和文とウエイトや骨格、筆法が近いデザインの書体を選ぶこと。和文と欧文は文字設計の構造が異なるため、そのまま組むと欧文は和文よりも上がって見えてしまう。不揃いな印象にならないよう、欧文は和文のベースラインに合わせて位置を調整しよう。

これらのポイントを踏まえて、リトルプレスの本文の文字組みで使用するInDesignの合成フォントを作成しました。私はAdobe Creative Cloudに入っているので、フォントは「Adobe Fonts」で取得できるものの中から、自分のお気に入りのフォントをテーマに合わせてチョイスしています。

中ゴシックBBB+Futura

中ゴシックBBB+Futuraモリサワの「A-OTF 中ゴシックBBB Pr6N」とParatypeの「Futura PT」(スタイル:Book)の合成フォントです。「中ゴシックBBB」は字面が小さく可読性に長けているので、雑誌の本文におすすめです。また、「Futura」は海外の有名ブランドのロゴにも使われる程の有名なフォントで、私もサンセリフ体の欧文フォントの中で特に好きです。

游明朝体+Garamond

游明朝体+Garamond字游工房の「游明朝体 Pr6N」とAdobe Originalsの「Garamond Premier」(スタイル:Regular)の合成フォントです。「游明朝体」は“単行本や文庫などで小説を組むこと”を目的に開発されたフォントで、「Garamond」はスタイルの種類が豊富で、様々な種類の明朝体の和文フォントと合わせやすいと思います。

「中ゴシックBBB+Futura」と「游明朝体+Garamond」共に、左が横組み、右が縦組みのInDesignの合成フォントの画面です。欧文サイズは横組みの場合は「110%」に、縦組みの場合は「105%」に設定しました。これは『デザインノート No.91』を参考にしています。また、縦組みの場合は、ベースラインを目視で調整しました。

有料フォントを購入すれば、「和欧混植」の可能性はさらに広がると思います。しかし、“高いフォントを使えば良い文字組みになる”というものではなく、基本的なポイントは変わりません。絶賛制作中のリトルプレスでは、美しく読みやすい文字組みを実現したいです。


業界最大規模の品揃えを誇る実績と信頼の「印刷の通販 グラフィック」

amiko
編集者、デザイナー、宣伝のお仕事などを経験。現在は「デザインライター」として活動中。プログラマーとしてもお仕事をしています。好きなことは、読書、音楽(主にジャズ)、旅行。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください