プチDIYで金継ぎ風加工

金継ぎ風加工

一度壊れてしまったものは、二度と同じものには戻らない。
壊れたものを捨てるのは簡単だ。
しかし、簡単には捨てられないものがあるということに、深遠な人間の感情に、壊れた時に初めて気付く。


2020年も残すところあと2ヶ月となってしまいました。今年はどんな一年でしたか?まだ振り返るには少し早い気もしますが、私は「壊れたもの」「壊れそうになったもの」が多かった1年間でした。

コロナウイルスの影響で空白になったスケジュール、10年近く使い続けたノートパソコン、そして、お気に入りのマグカップ。自分の置かれた環境や思い入れなんて一切関係なく、その時は突然訪れてしまうものです。

何かが壊れそうになった時、人は必ず決断をしなければなりません。「諦める」か「諦めない」か。

空白になったスケジュールは、諦めて予定を変更しました。パソコンは修理を考えて診断してもらいましたが、結果的に諦めて新しいものを購入しました。でも、欠けてしまったマグカップは、「諦めないことを楽しむ」ことに決めました。
マグカップ福岡県東峰村の小石原で手に入れた、お気に入りのマグカップです。(購入した時の思い出→わたしの愛する「不便」

不注意でマグカップを破損してしまった時、ショックでしばらく落ち込んでいたのですが、絶対に直してあげたいと思いました。高価なものではないけれど、このマグカップは世界に一つしかないのです。

そんな時、ふと頭の中に浮かんできたのが「金継ぎ」でした。元々金継ぎの美しさや精神性に興味があり、一時期調べていたことがあったので、その考えに至ったのは必然だったのかもしれません。

でも、金継ぎってそんなに簡単には出来ないですし、プロの方に頼めばそれなりのお値段になります。あとは予算と自分の気持ちの問題です。

『絶対に直したい、捨てたくない、そして、失敗してもいいから自分の手で。なぜなら、このマグカップはたとえ失敗しても、愛していける自信があるから。』

これでやることは決まりました。「DIYで金継ぎ風の加工をして、新しいマグカップを作る!
エポキシパテ色々と調べた結果、用意したのはこの3つ。少しの破損なら漆だけでも大丈夫のようですが、エポキシパテも使ってみたかったので、使用しました。

上記の2つは公式サイトへのリンクを貼ったので、詳細はサイトでご確認ください。

まず、エポキシパテのA剤とB剤を適量カッターで切り落とします。手袋の着用必須。エポキシパテこんな感じの薄い灰色になるまでよく練り合わせます。
エポキシパテあとはこれを成形するだけ。とても簡単です。しっかり固まってくっついたら、耐水サンドペーパーを使って仕上げます。
エポキシパテ破損の箇所より大きく作ってみました。自分の好きな形に自由自在に成形出来るところが面白いです。

あとは、漆と金粉を混ぜ合わせたものを塗っていきます。完全に乾いたら完成です。塗りも素人ですが、元々「失敗しても大丈夫、それが個性になる」という精神でやっているので、神経質にならずに純粋に楽しめました。
金継ぎ愛する気持ちがあれば、なんとかなる。そしてまた、生まれ変わることが出来る。
金継ぎ出来ました〜!完璧ではないけれど、「本物の金継ぎ」とは呼べないけれど、世界に一つの、自分だけのオリジナルマグカップです。生みの親である「鬼丸豊喜窯(おにまるとよきがま)」さんに感謝しながら、これからも大切に使い続けていきたいです。

「壊れたもの」「壊れそうになったもの」が多かった一年。諦めたり、諦めなかったり、買い替えたり、時に出費や痛みを伴ったり、本当に色んなことを考えさせられました。

価値観や考え方は様々だけれど、「一度壊れてしまったものは、二度と同じものには戻らない」これだけは絶対なのです。マグカップしかり、パソコンしかり、もう一度使いたいと思って修理をしても、それは全く同じものではないのです。

でも、愛情を持って直したものなら、全く同じものでなくても良いのではないでしょうか。思い出に生きるのではなく、未来志向で向き合っていけるかどうか。「諦めない」ことにおいて、それが大切なような気がするのです。

amiko
編集者、デザイナー、宣伝のお仕事などを経験。現在は「デザインライター」として活動中。プログラマーとしてもお仕事をしています。好きなことは、読書、音楽(主にジャズ)、旅行。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください