今回のデンマーク旅行では、行きたいと思っていた美術館が二つありました。一つは、コペンハーゲンの「ルイジアナ近代美術館」。そしてもう一つが、オーフスの「ARoS Aarhus Kunstmuseum(アロス・オーフス美術館)」です。2004年に現在の建物でオープンした新しい現代アートミュージアム。そこは楽園のような場所でした。
1. 洗練されたデザイン空間とアート
「アロス・オーフス美術館」は、10階建ての建物で、合計約2万700平方メートルの広さを誇る北欧最大級の美術館です。設計したのはデンマークの建築会社「Schmidt Hammer Lassen Architects」。“ブラック・ダイアモンド”と呼ばれるコペンハーゲンにある王立図書館(The Royal Library)や、オーフスの公立図書館(Dokk1)なども手がけた一流企業です。
建物の中に入ってまず目に飛び込んでくるのが、まるで音楽が通り過ぎていくかのように流麗な曲線と、日光をたっぷりと吸い込んで放つ真っ白な空間。『ここでどんなアートに出会えるんだろう』と、期待感と開放感に胸が高鳴ります。
「アロス・オーフス美術館」には、シンボル的な作品があります。イギリスで活躍している彫刻家ロン・ミュエク(Ron Mueck)が2000年に制作した「Boy」です。高さ約5mの巨大な少年。屈んで少し険しい表情でどこかを見つめています。
彫刻以外にも多彩なアート作品がずらり。写真はアメリカのポップアーティスト、ジェームス・ローゼンクイスト(James Rosenquist)のコレクション展です。独特な色使いと大胆なコラージュが、圧倒的な世界観を生み出しています。
「新しさ」だけでなく「懐かしさ」も感じました。デンマークの中で大好きな建物の一つ、ロスキレ大聖堂を見つけて思わずパシャリ。今回の旅では訪れていないのですが、また行きたいなぁと思いました。絵画の中の雪景色がとてもステキだったので、今度はクリスマスシーズンに行ってみたいです。
2. レインボーパノラマの楽園
「アロス・オーフス美術館」で特に人気を集めているのが、10階にあるレインボーパノラマです。カラフルなグラデーションで彩られた円の内部を、ぐるっと一周歩いて楽しめるスポットです。
まるで空の上を、虹の中を、悠々と回遊しているような気分になれます。カラーフィルターを通して眺めるオーフスの美しい街並は、それだけで一つの作品を切り取ることが出来ます。
きっと、ここでしか見られない景色。デンマーク旅行ももうすぐ終わってしまうので、「旅で出会うことの喜び」に対する感謝の気持ちがどっと込み上げて来ました。『デンマークに来て良かった、オーフスに来て良かった』そう感じられる楽園のような場所でした。
3. 甘酸っぱい思い出を噛み締めて
最後はやっぱりミュージアムカフェで締めくくります。ただ、正確にはカフェではなくレストラン(ARoS Wine & Food)です。店内のインテリアも料理も、とにかくすべてがキレイでオシャレ。
いただいたのは、サラダで彩られたドライエイジングビーフのステーキと、エルダーフラワーのドリンク。酸味が強めに利いていて、ほのかに甘さが口に残るサラダのソースは、日本ではあまり食べたことのない味付けです。そして、デンマークで人気のエルダーフラワー。リトルプレスのvol.1で出会ったアンデルセンの童話『ニワトコおばさん』のストーリーを思い浮かべながら、優しい甘さに思わず笑みがこぼれそうでした。
オーフス最終日。この後「KOMBARDO EXPRESSEN」でコペンハーゲンに戻り、翌日には日本へ帰国します。『楽しい旅と記憶が、ずっと続けば良いのにな』甘酸っぱい思い出たちを噛み締めながら、レストランを、美術館を、そしてオーフスを後にしました。
『人生の旅は、まだこれからだ』
アロス・オーフス美術館 ARoS Aarhus Kunstmuseum
住所:Aros Allé 2, 8000 Aarhus
開館日:火曜日(10〜22時)、水〜日曜日(10〜17時)
閉館日:月曜日
入館料:大人130DKK、大人(31歳未満)100DKK、学生100DKK、18歳未満は無料
WEBサイト:https://www.aros.dk/en/